コラム

猫のかかりやすい病気とその治療について 〜年齢別のリスク・予防接種・治療費まで専門的に解説〜

猫のかかりやすい病気とその治療について  〜年齢別のリスク・予防接種・治療費まで専門的に解説〜
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2026年4月6日

猫の健康管理は「年齢別」で考えることが重要

猫の病気は年齢によって発症傾向が大きく異なります。
子猫期は感染症リスクが高く、成猫期は生活習慣や環境の影響が出やすくなり、高齢期になると内臓疾患や慢性疾患が増加します。

したがって、猫の健康管理は「一律」ではなく、ライフステージごとの対策が不可欠です。

本記事では、幼少期・中期・高齢期それぞれのリスク、予防接種、主要疾患の治療、さらに食事・運動面の対策まで体系的に解説します。


幼少期にかかりやすい病気と死亡率・予防策

主な疾患

  • 猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペス)
  • 猫カリシウイルス感染症
  • 猫汎白血球減少症(パルボ)
  • 寄生虫感染(回虫・コクシジウムなど)

死亡率の目安

特に猫汎白血球減少症は致死率が高く、未接種・免疫が未熟な子猫では50〜90%前後と報告されることもあります。
多頭飼育や保護環境では感染拡大のリスクが高まります。

予防策

  • ワクチン接種(コアワクチンの徹底)
  • 清潔な飼育環境(トイレ・食器の消毒)
  • 完全室内飼育の徹底(外部接触を避ける)
  • 新規迎え入れ時の隔離(2週間程度の様子見)

補足

子猫は免疫が未熟なため、「予防が最重要」です。
特に母猫の乳から免疫を接種している時期の子猫が母猫から離れてしまった場合には、こうした免疫力の低さから感染症などにかかりやすく、また死亡率も急激に上がります。
特に、生まれて間もない子猫が捨てられてしまっていた場合には直ぐに保護し、まずは近くの動物病院へ連れて行くようにしましょう。
元気に見えても環境の変化やちょっとしたストレスから体調を崩し、免疫力の低さから大人の猫であれば自力で回復が出来る程度の体調不良でもそのまま命に係わる危険性があります。
また、感染症にかかってしまった感染後の治療は対症療法が中心で、体力低下により重症化しやすい点に特に注意が必要です。
さらに、同じ子猫が生活環境にいる場合には隔離をするなど特に気を付けなければなりません。


中期(成猫期)にかかりやすい病気と死亡率・予防対策

主な疾患

  • 尿路結石(ストルバイト・シュウ酸カルシウム)
  • 肥満関連疾患(糖尿病・脂肪肝)
  • 歯周病
  • ストレス起因の特発性膀胱炎

死亡率の目安

成猫期は急性致死というより、慢性化→合併症で悪化するケースが多く、死亡率は疾患により大きく異なります。
たとえば重度の尿路閉塞は放置すると数日で致命的になることがあります。

予防対策

  • 適正体重の維持(ボディコンディションスコアの管理)
  • 水分摂取量の確保(ウェットフードの併用・給水器の工夫)
  • トイレ環境の最適化(清潔・数の確保)
    ワクチン接種
  • 定期的な口腔ケア(歯磨き・デンタルケア)

補足

猫は水をあまり飲まない動物であり、泌尿器トラブルは最頻出です。
特に、冬場は水をより飲まなくなってしまう猫が増えるためそうした時期には猫が水をしっかりと飲むような水飲み場の工夫や、水の温度を変えるなどすると良いでしょう。
また、1日にどのくらいの量の水を飲んでいるのか把握することもとても大切なこととなります。
こうしたケアをすることで高齢化した時に発症する確率の高い腎臓病を未然に遅らせるケアに繋がります。
さらに、排尿の量や色そしてお漏らしなどをしていないかなどもこまめにチェックをすることで、頻尿器トラブルの早期発見へとつながります。
また、環境ストレスも発症要因となるため、静かで安心できる生活環境の整備が重要です。


高齢期にかかりやすい病気と死亡率・予防対策

主な疾患

  • 慢性腎臓病(CKD)
  • 甲状腺機能亢進症
  • 腫瘍(リンパ腫・乳腺腫瘍など)
  • 関節疾患(変形性関節症)
  • 認知機能低下

死亡率の目安

慢性腎臓病は高齢猫の主要な死因の一つで、進行度(IRISステージ)により予後が大きく変わります。
腫瘍は種類・進行度により差が大きいですが、悪性の場合は生存期間が短くなることもあります。

予防対策

  • 年2回以上の健康診断(血液検査・尿検査)
  • 早期からの療法食の検討(腎臓ケアなど)
  • 体重・筋肉量の維持(サルコペニア予防)
  • 段差の少ない住環境(関節への配慮)

補足

高齢期は「治す」よりも「進行を遅らせ、生活の質を保つ」ことが重要です。
特に猫は腎機能の関係から犬や人とは異なり、腎臓病を直すことは出来ません。
そのため、腎臓病の進行を止める、もしくは、遅らせることが何よりも重要なこととなります。
特に初期症状であれば、水をしっかり飲むことや食事ケアなどで進行を遅らせることが出来ますが、悪化するにしたがって腎機能の低下から食事を取らなくなる、水分を取らなくなるなどになり血糖値の低下や水分不足によってさらに腎臓へダメージがかかることも多くあります。
そうした場合には、毎日点滴を病院もしくは自宅で打つ必要が出てきてしまい病院の治療費だけではなく飼い主様の心身的な負担も大きくなるため、早期発見・早期治療が非常に大切なこととなります。


予防接種の種類・必要性・費用

コアワクチン(基本)

  • 猫ウイルス性鼻気管炎
  • 猫カリシウイルス感染症
  • 猫汎白血球減少症

ノンコア(環境に応じて)

  • 猫白血病ウイルス(FeLV)
  • 猫クラミジア など

接種スケジュール(例)

  • 子猫期:生後8〜12週で初回、その後追加接種
  • 成猫:年1回(または獣医師の指示に従う)

費用目安

  • 3種混合:5,000〜8,000円/回
  • 5種混合:7,000〜10,000円/回
  • FeLV:3,000〜6,000円/回

     

必要性

感染症は一度流行すると重篤化しやすく、ワクチンでしか予防できない病気が多いため、室内飼いでも基本接種は推奨されます。
中には一度感染すると体内にウイルスが残り続けてしまい、環境の変化やストレスなど免疫が低下した際に再度その病気が再発してしまうものもあるため、こうした感染症を未然に防ぐことがとても大切なこととなります。
特に、お外に遊びに出る猫や猫の多頭飼いをしている・これからしようと思っている方は幼少期だけではなく大人になってからもしっかりとワクチンを打つことで、感染症にかからないことはもちろんのこと他の猫に感染をさせないことにも繋がります。
また、幼少期の猫は免疫力の低さから様々な病気にかかりやすいため特に感染症になるリスクを減らすこと、さらに、体が弱いため虫対策もしっかりとすると良いでしょう。


猫がかかりやすい病気トップ3

① 慢性腎臓病(CKD)

  • 治療内容:点滴(皮下・静脈)、投薬、療法食
  • 期間:生涯管理(進行抑制)
  • 費用:1回3,000〜10,000円(点滴)/月1万〜3万円前後

     

② 尿路結石・膀胱炎

  • 治療内容:投薬、食事療法、場合によりカテーテル処置
  • 期間:数日〜数週間、再発予防は長期
  • 費用:1回5,000〜15,000円、閉塞時は数万円〜

     

③ 歯周病

  • 治療内容:スケーリング(全身麻酔下)、抜歯
  • 期間:処置1回+アフターケア
  • 費用:2万〜10万円程度(状態により変動)


健康でいるための対策(食事面)

猫は完全肉食寄りの栄養要求を持ち、タンパク質・水分の摂取が重要です。

具体策

  • 高品質タンパクのフード選択(AAFCO基準を満たす)
  • ウェットフード併用で水分摂取量を増やす
  • 年齢別(キトン・アダルト・シニア)でフードを切替
  • 泌尿器ケア・腎臓ケアなど目的別フードの活用
  • 過剰なおやつを控え、総カロリー管理を行う

ポイント

「食事=最も継続的な医療」と考え、予防の第一歩として設計することが重要です。
特に年齢別、そして長毛か短毛か、室内飼いなのかどうかを含めその子の年齢・種別・生活に合った食事を与えることが非常に大切なことになります。
ただし、腎臓ケア用のフードと普通の大人用のフードですと含まれている成分などが異なることから、まだ元気な頃からはあまり食べないほうが良いとされているため、かかりつけの病院の先生に相談をしながら腎臓ケア用のフードへの移行を行ったほうが良いでしょう。
また、その他、昨今では猫用のサプリメントが多数ございますので、こうしたサプリメントなどを使用することによって偏った食事を好む猫の場合でも必要な栄養バランスを取ってあげることができます。


健康でいるための対策(運動面)

室内飼いの猫は運動不足になりやすく、肥満やストレスの原因となります。

具体策

  • 1日2回以上の遊び(10〜15分程度)
  • 上下運動(キャットタワー・棚の設置)
  • 知育玩具で捕食行動を再現
  • 複数の休息場所を用意し、安心できる環境を整える

ポイント

運動は体重管理だけでなく、ストレス軽減・泌尿器トラブルの予防にも寄与します。
そのため、ケージの中での暮らしを出来る限り短くしたり、部屋の中で沢山遊ぶことが出来るようなおもちゃやキャットタワー・棚を用意するなどの他、同じ猫の友達をお迎えして遊ばせてあげるという方法もあります。
ただし、猫の場合には群れの意識が強く、また、同じ猫同士でも相性の良し悪しがあるため、猫を多頭飼いする場合には注意が必要です。
また、遊び相手として昨今では機械式で動くおもちゃなども登場しているため、飼い主様が忙しく中々遊ぶ時間を取れない場合にはこうした機械式のおもちゃを取り入れるのも良いでしょう。


現在の平均寿命と将来予測

現在

  • 室内飼い:14〜16年(平均)
  • 長寿例:18〜20年

将来予測

今後は16〜18年が平均になる可能性が高いと考えられます。

理由

  • 療法食・サプリの進化
  • 早期診断(血液・画像検査)の普及
  • 飼い主の健康意識向上
  • 慢性疾患の管理技術の進歩

まとめ

猫の健康管理は年齢ごとに戦略が異なり、予防・早期発見・継続管理が鍵となります。ワクチンや食事設計、運動環境を適切に整えることで、多くの病気はリスクを下げることが可能です。

そして最も重要なのは、日々の小さな変化に気づくことです。

猫は不調を隠す動物だからこそ、飼い主の観察力が最大の予防策となります。